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書評・レビュー

2014年12月16日 (火)

『「治療 12月号」特集 ポリファーマシー 不要な薬に立ち向かう』を読んで

ポリファーマシーについての書籍は以前、『提言日本のポリファーマシー』(徳田安春編集)を読んで(http://manabunoda.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-dcd9.html)で取り上げました。今回の特集では、医師、薬剤師等が様々な観点からの意見を述べられています。

今回本書を読んで思ったのは、これは医療者全員で協力しないとなかなか改善していかないということです。処方医、薬剤師、また他職種がポリファーマシーのデメリットを認識し、しっかりと取り組んでいかないといけないと感じました。
中でもポリファーマシーの原因は、医師にあるような言われ方がよくされますが、個人的には半分は薬剤師に責任があると思います。今ではほとんどの処方を薬剤師が鑑査していますからね。少し問題のある処方をそのまま調剤しているのは、よく言えば医師に気を使っているのですが、悪く言えば見て見ぬふりをしているのだと思います。
薬剤師がしっかり発言しないと、ポリファーマシーの問題は改善していかないと思います。これからは見て見ぬふりをするのではなく、積極的に処方提案していきませんか?

では気になった部分を抜粋しながら、意見を書いていきます。

まずは、高齢者におけるポリファーマシーについて。

「ある研究によると、高齢者の26%が5疾患以上に罹患しているとされ、また別の研究によると、65歳以上では半数が3つの慢性疾患をもち、21%は5つの慢性疾患を有するとされる。このため、これらの多くの病態を薬剤で治療しようとすると、必然的にポリファーマシーとなる。」(P1678

また、

「よいエビデンスが証明されている薬剤にしても、そのスタディのほとんどは、非高齢者でかつ併存疾患の少ない患者群を対象に行われており、多数の疾患を抱える日本人高齢者を対象としたものではないことに注意すべきである。つまり、高齢者にEBMを適応するのは困難なことが多い。」(P1719

ポリファーマシーの多くは高齢者で見られます。上記のように、高齢者は複数の疾患を抱えていることが多いですが、高齢者に使用する薬剤に関するエビデンスは少ないのが現状です。全ての疾患を治療する必要は必ずしもありません。薬剤のエビデンスを十分に吟味し、その薬剤の処方の妥当性を考慮しなければならないですね。

ポリファーマシーの原因については色々書かれておりまして、

1度開始した治療薬中止の判断は行われないことも少なくなく、急性の病態を改善するために使用された薬が慢性期にも漫然と使用されることなどは、その一例である。」(P1679

よくありますね。

「重要であるにもかかわらずあまり知られていないのが、薬の副作用を薬で治療するprescribing cascadeといわれる不適切処方である。」(P1679

これも良くありますね。また、副作用予防としての投与も多く、それで薬剤数が多くなったり、副作用が出たりというのもありますね。

他にも様々あるようで

「必要な薬剤を、必要な分だけきちんと服用することは、ポリファーマシー予防の観点からはとても大事である。
アドヒアランスが低下治療効果減弱さらに薬剤が追加ポリファーマシー薬剤が増え、副作用も増え、服薬スケジュール複雑化コスト高さらにアドヒアランスが低下、という循環が生じるためである。」(P1720

この悪循環もよく見ますね。新しい薬剤を出すより、アドヒアランスを改善させる方が先じゃないのかと。難しいのかもしれませんが。処方通り服薬する、できないのならむやみに追加せず、アドヒアランスの改善を試みる、原因となっている処方内容を変更するなどの試みが先に必要ですね。

他に、

「勤務医時代から20年来通院されている方もおられる。そうした患者は、複数の生活習慣病をかかえ、長期に多剤の薬剤投与を受けていることが少なくないが、多くの薬剤を処方することに患者・医師双方が、疑問を感じることなく過ぎ、毎回の診察がなかばルーチン化してしまい、医師もいわゆる「do処方」を繰り返してしまうという構造が成立しやすい。」(P1740

これもよく見ますね。もうずっと飲んでいるからというやつです。私も疑義照会しようと患者さんに伺ったのですが、ずっと飲んでいるから続けたい、といわれて断念した経験が何度かあります。患者さんになんと言われようと不要だと思えば中止すべきなのですが、それがなかなか難しいようです。

転院患者では、こういったこともよく見受けられます。

「入院診療で患者を担当した病院の医師は、薬剤の処方内容を、地域の紹介元などの医師へ書面で報告することが求められる。その際、処方理由も報告されることが理想で、それがポリファーマシーへの対応となるであろう。」(P1760

紹介状には、主な症状の経過はほとんどの場合記載してありますが、処方薬の処方意図は記載されていることが非常に少ないです。なぜその薬剤を処方しているのか、どうしてその用量なのかなど背景があるはずなのですが。転院時にすでに十分に中止できる薬剤が含まれていることも多いですので、処方意図を記載するのは重要だと思います。

つぎは、他職種との連携について

「ポリファーマシーを減らすためには、他職種連携は重要な課題である。介護施設での薬剤師の介入により、潜在的薬物治療問題への気づきが増え、薬物有害事象がなくなった、入院が減少した、という報告がある。」(P1679

薬剤師の介入により薬剤数が減ったという論文がいくつか報告されており、本書でも数例紹介されていました。私は病院で勤務していますが、ポリファーマシーにて介入する例も多く、薬剤師の役割は大きいと考えます。特に介護施設では、doで処方される傾向があり、また他の病院からの転院患者も多く、薬剤師がその処方の妥当性を判断するための介入の余地というのは大きいと考えています。

ただ、その一方で

「保険薬局の薬剤師がポリファーマシーに疑問を持ったり、薬が多すぎると患者から相談されても、医師に処方を減らすように言い出せないことは多いのである。
(中略)
医師と薬剤師が十分に連携をとりお互いの職能を有効に利用すれば、患者にとって不必要な処方をなくす道が開けるのではないだろうか。
そのために必要な薬剤師側の能力として、基礎薬学や添付文書、DI情報だけでなく、臨床論文を読みこなす能力が必要であると考える。」(P1692

薬剤師に、その介入に適した知識があるかどうかと問われると、まだまだ足りないのではないかと思います。論文を読むような習慣がない薬剤師は多いように感じるからです。今後はこういった介入が求められてくると思いますので、薬剤師にも臨床論文を読みこなす力は必須ですね。

薬剤師との連携では、素晴らしい取り組みもありました。

1人診療であるがために自分の処方を再評価する機会が少なく、またポリファーマシーの自覚はあってもなかなか決断できないことがあると思われる。これに対してお勧めしたいのが、薬剤師との連携である。
(中略)
当院では、以前から近隣の保険薬局とのミーティングを月1回行っているが、薬剤師にその月の9種類以上の処方があった患者をリストアップしてもらい、そのなかでも顕著な例を取りあげて、どの薬が減らせるかを検討している。」(P1742

剤数が多いことが悪いこととは限りませんが、どこかで線引きをしなければ見直すべき処方のピックアップができませんので、9剤というルールを作り、こういった取り組みができているのは、とても素晴らしいことだと思います。

また、薬剤を減らす取り組みにはこういったのもあるようです。

「常に薬剤の減量・中止を検討することはポリファーマシーへの対応の基本である。
(中略)
たとえば、処方薬の内容を患者の誕生月などに定期的に見直すことができれば理想的である。」(P1761

毎回処方薬の内容を検討するのは時間の制約もある中で難しいことなのかもしれません。ただ、ずっと見直さないというのも問題です。誕生日月等、年に23回は見直す時間を作ってほしいというのが私の思いです。

ただまあ、減らせばいいってものではなく

「単に処方薬剤を「減らす」だけに気をとられるのは、それ自体が目的化するおそれがある。真の「マインド」とは、あくまで個々の患者に対し、いかに適切に薬剤を処方するかであるということを忘れてはならない。」(P1742

これはしっかり頭に入れておかないといけない概念ですね。

また、自分の使える種類の薬剤で治療をするというのも大事だと思います。

personal drug(P-drug)とは、WHOにより1995年に提唱された概念で、自家薬籠中の薬剤、つまり日常よく診療する症状・疾患に対して、自らの標準的薬剤を備えることである。一般に、医師のP-drug4050種類といわれるが、筆者は一般臨床医のP-drugはもっと少ないように考える。」(P1760

転院患者では、そのまま処方が引き継がれることが多いですが、処方医がその薬剤に関する知識を有していないことも多いです。そのため、副作用に気づかなかったり、気づけば禁忌症例になっていた、その疾患は完治しており処方の必要がなかった、なんていう例をいくつも目にしてきました。そのまま処方を引き継ぐのも最初はいいですが、後々は自分の使い慣れた処方薬に変更していただきたく思います。

そして最後に、個人的に気になったので

「赤の他人からいわれのない金を受け取ったり、食事をおごってもらったり、研究会や学会の費用・交通費を出してもらうのは悪いことだというのは、子供でもわかることだ。それが利害関係のある人からの贈り物なら、なおさらのことであり、賄賂の授受だと糾弾されても反論できない行為だということも。」(P1696

pill pusher-薬をねじ込むメガファーマー』の章では、あまり見かけない製薬メーカー批判、製薬メーカーと癒着する医療者の批判が、かなり強烈に書かれていました。何も反論の余地はないですし、当たっている部分も多いと思います。こういったこともポリファーマシーの原因になりかねないので、自覚していかないといけないですね。


以上、ブログでは一部しか取り上げられませんが、大変学びの多い内容で、薬剤師にはぜひとも一読してもらいたく思いました。間違いなく薬剤師が活躍しないといけない問題ですので、問題点を共有し、様々な取り組みをしていくことができれば、と思います。

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2014年6月22日 (日)

『ドキュメント東日本大震災 そのとき薬剤師は医療チームの要になった』(日経DI編著)を読んで

今回ご紹介するのは、
『ドキュメント東日本大震災 そのとき薬剤師は医療チームの要になった』(日経DI編著)です。

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本書は、2011627日に発売されたもので、震災直後から12か月後までの被災地での薬剤師の奮闘の様子が描かれています。
被災地で元から働いていた薬剤師、ボランティアで被災地に入った薬剤師、また、医師・看護師からも、被災地での薬剤師の働きぶりについて書かれています。

 

たくさんのことを考えさせられる1冊でしたが、最も強く心に残ったのは、
何人かの方が書かれていましたが、こういった時にこそ、「薬剤師法第1条」に立ち返る必要があるということです。
いかなる時でも薬剤師が行わなければならないことは、調剤であり、医薬品の供給であり、薬事衛生であり、それらを通して公衆衛生の向上、増進に寄与し、国民の健康な生活を確保することなのだと、改めて感じました。

 

また、いくつかの薬剤師に対する称賛の声も書いてありましたが、その多くが調剤における代替調剤の提案でした。
正直この業務は薬剤師にとっては朝飯前の業務ではありますが、こんなことで他の職種は助かっているんだと思いました。確かに、普段から薬のことばかり考えている薬剤師の特殊能力かもしれないですね。そういった意味では、普段から取り扱う薬の数の多い薬局薬剤師の方が、こういった場面では価値が高いのかなとも感じました。

 

全体を通して、薬剤師にしかできない業務や薬剤師が中心になってすべき業務は多くあり、災害時における薬剤師の必要性というのは強く感じました。
(
あまりあってはならないのですが、)今後こういった機会があれば積極的に参加したいと思います。

 

最後に。
「お薬手帳」はこういった時に、本当に役立ちます!
薬剤師は普段から積極的に啓蒙していきましょう!!

 

 

「特に困ったのは精神科の薬」と、門前薬局の薬剤師は皆口をそろえる。(P18)
→確かにその通りだと思います。一般の薬局にはなかなか置いていないものも多いですし、代替のききにくい薬剤も多いです。たとえ同じ種類の薬剤でも、変更にて症状が悪化することも考えられます。また、中断すると退薬症状が出やすいのがこの類の薬ですね。これはしっかり頭に入れておかなければなりません。

 

・ほかの医療者、医師とか看護師に比べて薬剤師は、土壇場に立たされて判断を迫られるという経験が少ない。それは仕事の性格上、仕方ないのですが、今回は、いざというときに自分で判断して動けるくらい、これまできちんとした仕事ができていたかを問い掛けられた。(P51)
→これはその通りだと思います。薬剤師が土壇場に立つことは少ないですからね。でも、いつそういった場面が来てもいいように普段からある程度想定しておくことは必要なのではないかと感じました。

 

・請求先が分からない場合は、薬代も薬局が負担することになると予想されます。もしそうなったら、会社としてはかなり大きな損失となるのかもしれません。患者さんに薬を出すことが一番大切なことだと思いますし、利益のために頑張ったわけじゃないのですが。(P70)
→これは結局どうなったのでしょうか?利益のためじゃなかったにしろ、いくら患者さんのためだからと言って、すべてを被ってしまうのはおかしな話です。こういったことも準備しておかないといけないですね。

 

・医療者がいることの安心感ってものすごく大きいんだと改めて感じました。特に避難所では、何かあったときに相談できるという安心感が大切です。
(
中略)
患者さんや被災者の方にとっては、不安の種を取ってほしいという思いがある。でもそれは必ずしも医師の診察でなくてもいい。だから、薬剤師は、まだまだやれることがいっぱいあると感じました。
(P102)
→診断はできませんが、話を聞くくらいなら薬剤師もできます。こういった時は、医療者は精神的な支えにもなることができるんですね。

 

私はこの災害派遣で、公衆衛生の大切さを痛感した。せっかく生き延びた人たちにこれ以上苦しい思いはさせたくない。ノロやインフルエンザなどの感染症にかかってほしくない。これ以上、つらい思いをさせないために薬剤師が来たはずである。そう考えると、やはり薬剤師法第1条はよくできている。合言葉にしたのは間違いじゃなかった。(P117)
→薬剤師法第1条 薬剤師の任務
「薬剤師は、調剤、医薬品の供給そのた薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」
素敵な合言葉です。

 

・おそらく、今回の被災地で求められた薬剤師というのは、いわゆる門前薬局の薬剤師なんです。しかも、かなり規模の大きい病院とか、家庭医のような色々な患者を診ている病院・クリニックの門前の薬局で仕事をしているような薬剤師。そうじゃないと、扱う薬に範囲がとても広く、要求される作業も難しいものが多いので、十分に対応できないのではないかと思います。(P180)
→病院薬剤師は、薬局薬剤師に比べて取り扱う薬の種類が圧倒的に少ないので、薬局薬剤師の方がこういった時は役に立つと思います。代替調剤の判断とかもそっちのほうが素早くできますし、患者さんと接する数も多いですからね。

 

・日本人独特なのかもしれないですけど、薬がないことにみんなすごく不安になるんですよね。薬を飲んでないわりには血圧がさほど高くなっていない方や、血糖値がそれほど上がっていないといった方でも、薬を飲めていないことで不安になる。そうした薬にまつわる不安を取り除くのは、やはり薬剤師さんは上手でした。(P209)
→日本人は薬好きだと言われているので、精神的に薬に依存しているような状態の人も多いんだと思います。そんなに必要でない薬でも、薬を飲むことで安心するというのがあるんだと思います。本当はあまりよくないですが…こういった場面では、このような不安を取り除くのも、薬剤師の重要な任務の一つですね。

 

・まず、日本薬剤師会の「薬剤師のための災害対策マニュアル」をダウンロードして読んで必要なものを決めて、手分けして手配しました。
→ホームページ:「日本薬剤師会 薬剤師のための災害対策マニュアル」
是非ご一読を!

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2014年5月25日 (日)

『提言‐日本のポリファーマシー』(徳田安春編集)を読んで

今回ご紹介するのは、「提言‐日本のポリファーマシー」(徳田安春編集)です。

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本書は2012630日に行われた、「第2回 家庭医・病院総合医教育研究会」の討議をもとに編集されたものです。ポリファーマシーのことが中心に討議されたようで、その一連の討議の内容がまとめられています。また後半1/3くらいは、ポリファーマシーとは関係のない地域医療臨床実習関連の内容がまとめられています。

この書籍は以前から興味があって読みたかったのですが、先日プライマリケア連合学会学術大会に参加し、ポリファーマシーに関するポスター発表を見て、薬剤師が積極的に取り組まなければならない問題だという認識を持ち、この書籍を読むことにしました。

「ポリファーマシー」に正確な定義はまだありません。文献によっても異なります。薬剤数でいうと、5剤以上、7剤以上、10剤以上など様々なことが言われています。また多剤併用だけでなく、必要な薬剤が使われていないことや、不要な薬剤が使われていることも「ポリファーマシー」の一部です。もちろん、年齢や体重、腎機能、肝機能に対しての不適切な薬剤・用量選択も含みます。そのため個人的には、『医薬品の適正使用』と訳するのが適正なのかなと思います(もう少しかっこいいのがいいのですが…)。

「ポリファーマシー」は海外では徐々に使われてきている概念ですが、日本ではまだまだといった印象があります。薬剤師の中でもごく一部しかこの言葉を知らないのではないかと思います。もっともっと日本でもこの概念を浸透させていかなければならないと感じましたし、薬剤師が積極的に取り組んでいかないといけない問題だと思います。

 

誤字、脱字が多いのが少し残念でしたが、大変勉強になる内容ばかりでした。ポリファーマシーの概念から様々な取り組み、論文が紹介されていて、また改善案まで書かれているので、一から深くまで学ぶことができます。ぜひ薬剤師には読んでいただき、ポリファーマシーに関する理解を深めていただき、現在の薬物治療の内容を見直してもらいたく思います。

全体を俯瞰して管理することは大事な一つの仕事なのではないでしょうか。(中略)それを薬剤師がするのか、家庭医がするのか、病院総合医がするのか、もしくは専門医であってもその患者を一番診ている医師がするのかはわかりませんが、それが立派な業務であることを認識させることは意味があることだと思います。単に俯瞰するだけでなく、この人に関しては私が統括して診ているという権限を与えていくのが大きな意味を持つのではないでしょうか。門前薬局があってかかりつけ薬局があって、薬局がひとつにまとまるだけでは不十分であると思います。もう一歩踏み込んだシステムがほしいと思います。

→なかなか難しい問題提起です。ただの「かかりつけ薬局」ではなく、もう一歩踏み込んだ薬局が今後求められているようです。

 

先輩の処方がどんどん積み重なっていくので薬を切りにくい。患者も薬を減らしてほしいという。病歴でなぜこの薬が入ったのかを診療録に記載することが基本である。減らすのは、患者の将来に責任をもつ、かかりつけ医でないといけない。医師も自分の「かかりつけ薬剤師」を持つことが有用である。

→医師は、先輩の医師や他の病院の医師の処方を変えにくいようです。そりゃそうですよね。でもそういったことがこの問題の大きな原因の一つになっているのだと思います。そこには積極的に切り込んでいななければならないですし、薬剤師も提案、アドバイスしていかなければなりません。

 

薬を嫌がる文化、出す方も罪悪感を感じるような文化を作るべきだと今思います。減薬するのは入院中が一番で、その役割は、憎まれ役を買ってでも病院総合医が担うべきだと思います。開業医の先生方の中にも、入院の機会に薬を減らして欲しいと思っている先生方もたくさんおられると思います。そういった先生方を巻き込んで、薬を減らすと患者さんも喜び、医療費節減ができてみんながハッピーになる、そんな新しい文化を作るのがいいと思っています。

→薬を欲しがる文化は本当に深刻だと思います。「不必要な薬」を減らすことはメリットしかありません。そういった文化を今後は作っていかないといけません。

 

患者の訴えに対して、医師は患者への介入を行う。この際に一般診療の場において問診、観察、評価・治療計画を立て、患者に説明を行い実行するという過程をたどる。しかし、多忙な日常診療の場において、その煩わしさから、患者からの要求に対して、反射的に処方という場合もある。例として①いわゆるウイルス性上気道炎に対して抗菌薬処方、②不眠の原因を考えずにすぐに睡眠薬を処方、③それぞれ原因の異なる浮腫に対して、反射的に利尿剤の処方などがある。病態を考慮せず、エビデンスに乏しい治療を行うことを可能な限り避けるべきである。

→全てよく見かけます。抜本的な改革が必要なんですかね…

 

ある種のガイドラインに準ずることに重きを置きすぎて、高齢患者の包括的な評価による予後判定よりも優先してしまうことがある。薬物治療でマニュアル的に治療しようとする行為が高齢患者の予後を変えるような結果が本当に得られるかを真摯に考え、患者それぞれの状況や病態に合わせ、「治療の最終目標が何であるのか」を常に検討し、処方の見直しを継続的に行うべきである。

→真っ当な意見だと思います。高齢者にガイドラインを当てはめると、治療をしなければいけないことだらけになります。そうではなく、包括的に評価することで優先順位を決めていくことが今後は求められているのだと思います。

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2014年1月12日 (日)

『どんぐり式薬局副作用学のススメ 「まず疑え」から始めよ』(菅野彊著)を読んで

今日ご紹介する本は、
『どんぐり式薬局副作用学のススメ 「まず疑え」から始めよ』(菅野彊著)です。

本書の前半部分である1章は菅野先生の半生について書かれており、
今まで知らなかった一面を知ることができました。
後半部分である第2章は「薬理作用と薬物動態で解く 薬局副作用学」
について書かれており、大変勉強になりました。
なお、後半部分は以前日経DIに連載されていたもののまとめとなっております。
読んだことがあるはずですが、ほとんど忘れておりました…

特に後半部分が私にとって有用でしたので、
そちらを中心に学んだこと、考えたことをまとめます。
菅野先生は、前半部分を伝えたかったのかもしれませんが。

まずは、副作用に関する種々の記載について。

・薬物過敏症は投与量に関係なく、あらゆる薬であらゆる臓器に起こる可能性があり、
発現を予測することは難しい。
(中略)
判別には、血液検査における「白血球に占める好酸球の割合」
の上昇が一つの目安となる。(P166)
・薬局でもチェック可能な薬物過敏症に初発症状としては「発熱」が挙げられる。
また、発疹やそう痒感を伴うことが多い。服用開始後6カ月以内がほとんど。(P166)
・薬物アレルギーによる腎毒性は、腎障害患者への投与量の調節は必要ないが、
薬物毒性による腎毒性は、腎障害患者への投与量の調節が必要。(P181)

上記は副作用について学んだことです。
菅野先生は「副作用を機序別分類」と題して、
副作用を「薬理作用」、「薬物毒性」、「薬物過敏症」に分けて考えておられます。
確かにこうやって捉えるととても分かりやすいです。
よくよく考えてみると、今まで副作用について学ぶ機会は少なかったように思います。
そのため、どのように捉えればいいか迷っていました。
薬理作用なのか、毒性なのか、過敏症なのか、
副作用の可能性があるときはそのように考えていきたいと思いました。

・やはり薬剤性肝障害で重要なのは「定期的に検査を行う」ことなのである。(P212)

定期的に血液検査が必要な薬剤はたくさん存在します。
しかしながら、Drには注意を促しても流されることがしばしばありますし、
頻度も少ないからまあいいかと考えることも、今までにはありました。
患者さんには何か自覚症状があれば受診してくださいと伝えますが、
自覚症状も軽いものから重いものまであり、人によって異なりますし、
単なる体の異常と感じることもあるでしょう。
いくつかの事例を見て定期的な血液検査の必要性を再認識しましたし、
それを副作用だと判断することも重要だと感じました。

・「治療上の有益性が危険性を上回る場合により投与すること」は、
「投与してはいけない」のではなく、「投与できる」といえるだろう。(P227)

これは添付文書に書かれた妊婦・授乳婦への投与について記載された一例ですが、
かなりあいまいな記載で、人によって捉え方が異なる可能性もあります。
添付文書以外では、日本では虎の門病院、海外ではFDAの見解が参考になります。
妊婦・授乳婦への投与に関しては、それらを総合して考える必要があると思います。
これについては、以下の「お薬110番」の「妊娠とくすり」のコーナーに
まとめられていますので、参考にされて下さい。
http://www.jah.ne.jp/~kako/ (お薬110番ホームページ)

この他にも本書では母乳に移行しやすい薬剤の因子として、
・脂溶性が高い ・分子量が小さい(数百程度) ・血清蛋白結合率が低い
・生物学的利用率が高い ・薬物血中濃度半減期が長い ・分布容積が大きい
・弱塩基性で薬剤解離定数(pKa)が7.4より小さい (P232)
以上の7つが挙げられています。

また、母親への薬の投与量に対する乳児の摂取量の割合である
RIDについても記載されています。

RID(%)=乳児の摂取量(mg/kg/day)÷母親の投与量(mg/kg/day)×100
*乳児の摂取量=母乳中濃度×1日哺乳量(一般に150mL/kg/day)÷体重
*授乳時母親の薬物平均血中濃度×M/P比(油水分配計数)

こういったことも参考にして判断していきたいです。

・オメプラゾール錠「トーワ」は後発品であるが、生物学的試験を行う際に、
CYP2C19のPMを除いて試験を行ったというのだ。(P256)

オメプラゾールは代謝にCYP2C19が関与し、そのPMは約20%程度と言われています。
PMかそうでないかで薬物代謝は大きく異なるので、
こういった試験はとても有用だと思いましたし、
GEメーカーがこういった試験を行っていることに驚きました。
遺伝子多型については様々なことが分かり始めているので、
その発展に期待したいと思います。

最後に薬物動態の捉え方について、書いておきたいと思います。

・患者さん相手ですから理論通りにいかないこともあります。
だからこそモニタリングが必要なのです。(P41)

数式で表わされる薬物動態はあくまでも推測です。
人によって体の機能は異なり、併用薬、食習慣等も異なります。
つまり効果、副作用は人によって異なります。
これを肝に銘じなければなりません。
それゆえに、薬物を投与することで患者に何が起こるのか、
薬剤師がしっかりと見守らなければならないと思いました。

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2013年5月 6日 (月)

薬術って??ー『がんばろう薬剤師』(高村徳人著)

先日、社内にてフィジカルアセスメント研修を受講しました。
その時に講師をしてくださったのが、
今日紹介する『がんばろう薬剤師』の著者で、
九州保健福祉大学教授の高村徳人先生でした。
先生は薬物動態が専門分野で、20年近い病院薬剤師を経験されております。
また、薬剤師のフィジカルアセスメント参画の先駆者であり、
そういった立場からこの本を書かれています。

・薬術
・抜苦与楽
・フィジカルアセスメント
などのキーワードを捕えながら読み進めていくといいと思います。

本書で薬術として先生は、「薬学的分布診断法」を紹介されていますが、
私には少し難しかったです。
薬剤師には1人1人得意分野があり、
それを活かしたそれぞれの薬術を活かしていけばいいと思います。

薬剤師にはまだまだできることがありますし、それをしなければなりません。
本書を読んで、みんなで考えていきませんか?

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“「なぜ、今日まで薬剤師が主役の感動のドラマやドキュメンタリーが存在しなかったのだろうか?」
この疑問についてもう少し深く考えてみると、
つまり「薬剤師の仕事は、皆に感動を与えない」ということになる。”

“薬剤師にとっての神業とは、薬効を最大限に引き出すタイミングを見極め、
効きにくい薬をたとえ減量したとしても高めることができる技のことである。”

“病状が急変し、重篤な状態に陥ったとしても、
薬剤師はその場にいて十分役立つだけの技術(薬術)を持っておくことが重要なのである。
私にとってはこの薬術がまさに「薬学的診断法とそれに基づく攻めの姿勢の薬物投与法」
なのである。”

“名薬剤師という言葉は聞いたことがない。なぜ薬剤師には「名」が付かないのだろうか。
その理由は、薬剤師には究めると薬物治療の効果に差が付いてしまうような技術が
存在しないからである。”

“薬学部は技術者(薬剤師)と科学者(薬学者)が、同一人物ではなく歴史を刻んできてしまった。
このような状況では、薬剤師技術の発展は極めて効率が悪く小さかったに違いないと容易に判断できる。”

“医師と同等に大発展できたはずの薬剤師がなぜそうなれなかったのかというと、
最大の原因は従来の薬学教育にあると言い切ってもよい。
私の学生時代は薬学部に治療など存在していなかった。
このため私は病院薬剤師となってからも、患者を「治すマインド」が36歳まで欠落していた。”

“薬剤師養成のために頑張っているはずの薬学教員の研究成果が、薬剤師側に向かわず医師側に向かう。”

“近未来では、在宅医療においても薬術を用いて、患者QOLの向上を目指さなければならない。
薬術は薬剤師の限界を打ち破ってくれる。”

“薬剤師を大きく変化させるには、これまでの概念を打ち壊してくれる技術でないと意味がないと気付いたのである。
つまり薬剤師の「患者に触れない医療」から
「患者に触れる医療」への転換こそがその鍵を握ると確信した瞬間であった。
ここから「フィジカルアセスメント技術」を薬剤師の技術として、
薬学教育に導入すべきという結論に、ようやくたどり着いたのである。”

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